夢かうつつか幻か
ボケた天使は変幻自在
謎のボケ天『東京おかめ』が
粋も野暮も超越して
歌い演じる仰天世界
 某女優に瓜二つの『東京おかめ』が喧騒の六本木ディスコクラブ「アールホール」に忽然と現れたのは,今から6年前のことでした。

 着物ドレスに網タイツとハイヒール,そしてバンダナという異様な出で立ちで登場した『東京おかめ』は,クルト・ワイルの名曲やオリジナル・ソングを歌いながら,全く意味不明なパフォーマンスをもの凄いエネルギーでやってのけ,居合わせた観客たちの度肝を抜いてしまったのです。

 “メガロピンク”と題されたこのパフォーマンスは,その後も手を変え品を変え,役者や歌手,演奏家やダンサーたちをも巻き込みながら,ライブハウスや各地の劇場で行われてきました。ブロードウェイ・スタイルのミュージカルや歌舞伎,あるいは宝塚やオペラとも違う独特のパフォーマンス“メガロピンク”は,しばしば理解困難/前衛と評されながらも『東京おかめ』の不思議な存在感と抜群の表現力によって新たなファンを獲得しつつあります。

 『東京おかめ』は破格の演技力を持った天才役者ではありますが,いわゆるプロの“歌手”ではありません。当然,音楽的な素養や知識がある訳でもなく,専門的なトレーニングを受けてるわけでもありません。にもかかわらず,彼女の歌には強力な説得力があります。並の歌手では到底かなわない「感じさせる力」があります。そこに『東京おかめ』が「役者歌手」と称される所以が有るように思われます。

 本CDがもちろん『東京おかめ』にとって初めての録音作品です。第一弾です。ここで聴かれる歌の数々は『東京おかめ』の歌であって,顔と声が瓜二つと言われる,あの大女優『市原悦子』の歌ではないのです。

 ちなみに市原悦子は『東京おかめ』の大ファンであり,その生き方とキャラクターをこよなく愛し,生涯のテーマとまで言い切っています。